実践報告:子供のために一日でも長く生きたい
実践報告:子供のために一日でも長く生きたい
~他院からの相談で、治療継続可能となったケース~
当院に繋がるまで
当院に繋がるまで
胃がんのため他院に入院していた女性。抗がん剤の医療費が払えず治療の中断を考えていました。
他院SWより当院の医療福祉課へ無低の相談があり、基準に該当する事をお伝え。先方のSWから本人へ伝えて頂いたところ、是非無低を利用したい希望があり、当院へ転院となりました。生活状況は本人、夫とお子様2人の4人暮らし。
数年前から胃の痛みがありましたが、医療費の支払いが困難で受診を控えていました。夫の収入が安定せず、生活が厳しいため本人も仕事をして生計を立てていました。今年、職場の健診で貧血を指摘され他院受診、胃がん(ステージⅣ)の診断。胃の痛みや強い疲労感が持続するようになり、うまく働くことが出来ず職場を退職。夫の収入で生活するも家賃を滞納。生活保護申請の提案をしましたが、夫が営業で車を利用するため手放せない、出来る限り生活保護は受けたくない思いを話されました。
当院へ受診
当院へ受診
本人は医師から、「抗がん剤治療を行ったとしても予後は年内か、良くても年単位」とのICを受けています。
それでも子供たちのために治療継続を希望。就学援助世帯のため無低該当、医療費の心配なく入院出来る旨を伝えたところ、涙を流して喜ばれました。
「命を優先するか、お金を優先するかのギリギリの選択でした。(無低が利用出来て)本当に感謝しています。子供のために1日でも長く生きたいです」との思いを話されました。
治療開始
治療開始
入院後抗がん剤治療の目途がつき退院予定でしたが、食事量が低下。
IVH挿入のまま退院調整を行う事になり、訪問看護利用で月3万の負担(がん末期のため医療保険3割)。
訪問看護で無低は利用出来ないため本人と相談、支払いは困難との判断で退院は延期。その後食事量がアップし、医療行為無しで退院となりました。
医療費の支払いが厳しく、治療を断念している方が地域に埋もれています。
そのような方が安心して医療を受けられる事を可能にする、無低の役割は大きいです。
見えてきた課題
見えてきた課題
一方で上記のように全ての医療を無低で対応出来ない実態があり、今後の課題となっています。
いま出来る事として、他院や地域の方々への無低の情報提供を積極的に行い、一人でも多くの人が必要な医療に繋がってもらいたいと考えています。
執筆:間渕 智子
~無料低額診療を分かり易く~
経済的理由により、適切な医療を受けることが困難な方々に対して無料又は低額な料金で診療を行う社会福祉法に基づく事業です。
札幌市内では、勤医協の系列病院・クリニック・診療所にて実施しています。
当院では、ソーシャルワーカーが面談を行い、経済状況等を給与明細や通帳等にて確認させて頂き、生活保護基準を基に判断しています。
勤医協中央病院では今年度からリーフレットをリニューアルしました。