専攻医・後期研修医・専門医

緩和ケア科 専門研修プログラム

専攻医・後期研修医・専門医

緩和ケア科 専門研修プログラム

緩和ケア科後期研修についてプログラムや募集要項をご案内いたします。

勤医協中央病院緩和ケア科 小林良裕

勤医協中央病院ホスピスケア病棟(緩和ケア病棟) 理念

勤医協中央病院ホスピスケア病棟(緩和ケア病棟) 理念

  • がんに伴う様々な苦痛に直面している患者さん、ご家族の「生命の質」(QOL)の維持・向上に努め、希望を支えつつ、より良き生を送ることができるよう援助をいたします。
  • 患者さんの身体的、精神的、社会的、スピリチュアル(霊的、実存的)な全人的苦痛の緩和を図り、全ての病期において患者さん、ご家族の人間性と尊厳を守ります。
  • 医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、作業療法士、理学療法士、栄養士、ボランティアなどの専門的な多職種によるチームアプローチを重視し、民主的集団医療の下で最善のケアの実現に努めます。
  • 地域の他機関との協力、連携を深め、地域におけるホスピス・緩和ケアの普及に力を尽くします。
  • ホスピスケア病棟を多職種が学ぶ研修施設として、教育・研究活動を重視します。
  • 「尊厳をもって死を迎える権利および終末期にあっても可能な支援を最大限受ける権利」(当院患者の権利に関する宣言より)を大切にし、無差別・平等の医療とホスピスケアが実現される社会を目指して、多くの方々と力を合わせていきます。

はじめに

はじめに

当病棟は北海道勤医協内で初めての緩和ケア施設(18床)として2007年10月1日、中央病院7階に開設されました。これまで在札の勤医協院所からだけではなく、北海道がんセンター、北海道大学病院、市立札幌病院など近隣の他施設より多くの患者さんの紹介を受け現在に至っています。

病棟の大きな目的は患者と家族の生きる希望を支えることであり、そのQOLの維持・向上です。年間250名を超える入院患者のうち20%以上が疼痛などの症状緩和を受けて自宅などに退院し、緩和ケア外来・緩和ケア往診で管理されています。いわゆる「看取りのため」だけの施設ではありません。


こうした目的を遂行するためには疼痛を始めとする呼吸器、消化器などの身体的苦痛、不安や抑うつ、不眠などの精神的苦痛、家族関係や仕事、経済問題などの社会的苦痛、そして死を前にしての実存的苦痛・スピリチュアルペインといった全人的苦痛(total pain)の緩和が不可欠です。疼痛緩和に関して言えば既に1986年にWHO(世界保健機関)はがん性疼痛緩和の3段階除痛ラダーを明らかにしていますが、日本においてはがんの除痛率ががんセンターや大学病院ですら50%前後に低迷しているなどまだ普及が不十分と言わざるを得ません。これに対して緩和ケア施設での除痛率は90%を超えています。

医師が緩和ケアを学ぶ場としてはホスピス・緩和ケア病棟が最も良いと言われています。

上記のような症状緩和のマネジメントやこのための具体的かつスタンダードな薬物療法や技術、患者や家族またスタッフとの関係を通して、終末期の人間の生命と尊厳を守るマインド(hospice mind)、そして多職種による専門的なチームアプローチの大切さを学ぶことができます。 

当病棟は患者・家族への最善のケアの提供だけでなく、こうした医師をはじめとした多くの職種の人々が研修を受けられる教育施設としても機能していきたいと希望しています。


今後緩和ケアを専門にすることを考えている先生は勿論、他の専門を持ちながらサブスペシャリティとして緩和ケアを学びたいという先生や研修の一環として緩和ケアを学びたいという前期・後期研修医の先生などひろく受け入れを考えておりますのでご相談いただければ幸いです。


添付した研修用カリキュラムは日本緩和医療学会教育委員会の医師研修カリキュラムに準拠しています。これは内容としては緩和ケアの専門研修のレベルまで含むものです。しかし専門研修ではなく、ローテートのひとつとして希望するのであれば、概ね1~3ヶ月程度を考えていただけると、後半は主治医として患者さんを受け持つことができると思います。期間については調整が可能ですのでご相談ください。


ホスピスケアセンターでは4週間の短期研修プログラムがありますので御紹介いたします。

医師・診療体制

医師・診療体制

専任医師 4名
病棟:中央病院ホスピスケア病棟 24床
外来:緩和ケア外来 火曜午前・午後、水曜午前(予約制)
往診:火曜午前・午後

専門医取得を目指す場合

専門医取得を目指す場合

日本緩和医療学会は2009年度より「専門医」制度を発足させました。専門医取得には以下の条件を満たすことが求められています。

当院では2010年度中に緩和医療学会認定研修施設に認可される予定です。


  • 日本国の医師免許を有する者
  • 5年以上の緩和医療の臨床経験を有する者または「がんプロフェッショナル養成プラン緩和医療専門医コース」を修了した者
  • 本学会が認定する認定研修施設において2年以上の緩和医療の臨床研修を修了した者*
  • 自ら緩和医療を担当した20例の症例報告を提出すること(うち10例以上は認定研修施設の症例)*
  • 緩和医療に関する教育歴を有すること
  • 緩和医療に関する筆頭の原著論文または症例報告、かつ学会発表の業績を有すること
  • 本学会認定の講習会を1回以上受講していること
  • 申請時点で2年以上継続して本学会員であり、当該年度の会費を納めていること

*申請年より遡って5年以内(平成22年度に申請する場合は平成17年1月1日以降)のものとする。

勤医協中央病院ホスピス研修カリキュラム

勤医協中央病院ホスピス研修カリキュラム

緩和医療の定義

緩和医療の定義

緩和医療は、生命を脅かすような疾患、特に治癒することが困難な疾患を持つ患者および家族のクオリティーオブライフ(QOL)の向上のために、療養の場にかかわらず病気の全経過にわたり医療や福祉およびその他の様々な職種が協力して行われる医療を意味する。緩和医療は、患者と家族が可能な限り人間らしく快適な生活を送れるように提供され、その要件は以下の5項目である。


  • 痛みやその他の苦痛となる症状を緩和する
  • 人が生きることを尊重し、誰にも例外なく訪れる『死への過程』に敬意を払う
  • 患者・家族の望まない無理な延命や意図的に死を招くことをしない
  • 精神的・社会的な援助やスピリチュアルケアを提供し、最後まで患者が人生を積極的に生きて行けるように支える
  • 病気の療養中から死別した後に至るまで、家族が様々な困難に対処できるように支える

緩和医療を実践する医師の資質と態度

緩和医療を実践する医師の資質と態度

  • 医師は緩和医療が患者の余命に関わらず、そのQOLの維持・向上を目指したものであることを理解する。患者や家族のニードは常に変化し、ケアの目標も変化するため、常に見直しを行うことが必要である。
  • 全ての患者は、異なった人生を生き、死に直面している。医師は病気を疾患としてとらえるだけでなく、その人の人生の中で病気がどのような意味をもっているか(meaning of illness)を重視しなければならない。医師は、患者、家族を全人的に、身体的だけでなく、心理的、社会的、霊的(spiritual)に把握し、理解する必要がある。
  • 医師は、患者のみならず、患者を取り巻く家族や友人もケアの対象であることを理解する。
  • 医師は、患者に医学的に正しいと思うことを強制しないよう、特別の配慮が必要である。患者にとって安楽なことは、個々人で全く違うものであることを理解し、患者の自律性や選択を重要視する。
  • 緩和医療を実践する医師は医師として医学的判断や技術に優れていることが最も重要だが、それと同時にコミュニケーション能力も重要である。患者、家族、そして医療チーム内で良好なコミュニケーションをとることが出来ることが必要である。
  • 医師は、診療にあたって十分な説明とそれに基づく患者および家族の同意(informed consent)を得ることが必要不可欠であり、患者・家族が判断に迷うとき、セカンドオピニオンを得るために自施設以外の他の施設への受診などについて配慮する必要がある。
  • 医師は緩和医療を行うチームの中でその一員として働くことが重要である。チームメンバーのそれぞれの専門性と意見を大切にし、チームが円滑に運営されるよう常に心がける必要がある。

達成度の自己評価

達成度の自己評価

※各項目に対し、研修終了までに達成度の自己評価を記入してください。(数字で記入)
“0” 全くできない
“1” あまりできない
“2” どちらとも言えない
“3” ある程度できる
“4” 十分にできる

一般目標(general Instructional Objectives:GIO)

一般目標(general Instructional Objectives:GIO)

悪性腫瘍をはじめとする生命を脅かす疾患に羅患している患者・家族のQOLの向上のために、緩和医療を実践し、これらに同分野の教育や臨床研究を行うことができる能力を身につける。

個別行動目標(Specific Behavioral Obgectives:SBOs)

個別行動目標(Specific Behavioral Obgectives:SBOs)

最終更新日:2021年12月