専攻医・後期研修医・専門医
呼吸器内科 専門研修プログラム
呼吸器内科後期研修についてプログラムや募集要項をご案内いたします。
はじめに
はじめに
呼吸器内科は、肺炎や肺結核などの感染症、肺癌や中皮腫などの悪性疾患、特発性間質性肺炎や気管支喘息、膠原病関連肺疾患などのアレルギー・免疫疾患、じん肺症やアスベスト関連疾患などの職業性疾患といった、幅広い疾患構成を対象とします。それらの多くは、難治性であったり致死性であったりし、また喫煙や粉塵曝露など心理的社会的背景が関与するため、診療の知識、技術は勿論のこと、真摯な態度が必要とされます。そのため、幅広い総合的診療能力を基礎とした高度な専門性が要求される診療分野です。北海道のみならず日本全国においても呼吸器科の専門医や診療施設は少なく、専門医の育成が急務の課題となっています。
本プログラムの研修施設である勤医協中央病院呼吸器センターは、呼吸器内科と呼吸器外科から構成されています。札幌市北区および東区、石狩市、当別町といった広範な地域における呼吸器疾患診療の中核を担っています。また北海道民医連の呼吸器疾患のセンターとして、全道各地から患者の紹介やコンサルトを受けています。特に、肺炎や呼吸不全、気胸といった急性疾患、呼吸器悪性疾患、職業性疾患の症例が多く、内科と外科の密な連携の元に診療を行っています。
2013年8月からは放射線治療を開始し、札幌市東区においては唯一の呼吸器悪性疾患の集中治療を行う施設となりました。
本プログラムは、呼吸器内科の診療の基礎を修得することを目標としています。カリキュラムは、卒後2年間の初期研修終了後の研修医を対象とする4年間のコース、日本内科学会認定内科医資格を取得している研修医を対象とする3年間のコースがあります。いずれも、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医の資格の取得に必要な研修内容が含まれます。後期研修終了後は、北海道民医連の中規模病院での呼吸器内科を中心とした総合内科診療、勤医協中央病院呼吸器センターでより専門性の高い呼吸器科診療を行うことが可能であり、継続した呼吸器内科の修練が可能となっています。
施設認定
施設認定
- 日本呼吸器学会専門医制度認定施設
- 日本呼吸器内視鏡学会認定施設
指導医
指導医
医師名 | 卒年 | 資格 |
---|---|---|
佐藤 くみ子 | 76年 |
|
細川 誉至雄 | 79年 |
|
後期研修の具体的内容
後期研修の具体的内容
研修目標
研修目標
- 一般目標
呼吸器疾患の診断、治療について知り、主治医としての役割を果たし、診療を進めることができる。
- 行動目標
- 基礎となる一般内科診療(救急、外来、病棟)ができる。
- 呼吸器内科学の基礎について知り、自ら診療ができる。
- 呼吸器画像診断(単純X線、CT、MR、US)の基礎を習得し、カンファレンス等でプレゼンテーションができる。
- 呼吸器分野の侵襲的な検査や処置について、その適応と限界を知り、患者やその家族に説明できる。
- 人工呼吸療法について、患者やその家族に説明でき、単独で実施できる。
- 肺機能検査について自ら実施し、その結果を解釈できる。
- 気管鏡検査の技術(観察、経気管支生検、気管支肺胞洗浄、痰の除去、止血処置)を習得し、単独で実施できる。
- 胸腔ドレナージを単独で実施できる。
- 他職種を交えた医療チームのリーダーとして、ケアのコーディネートをし、進めることができる。
- 医学研究の基礎について知り、研究計画を立案し、実施できる。
学習方略
学習方略
勤医協中央病院呼吸器センターに所属し、病棟を中心とした呼吸器内科の診療を行う。気管支鏡を中心とした検査、呼吸器内科専門外来、内科一般外来を行う。院内呼吸ケアサポートチームに所属し、院内のコンサルトを受け、回診を行う。医師対象あるいは他職種対象の学習会の講師を行う。
経験すべき症例や手技は、日本呼吸器学会専門医制度のカリキュラムに準拠する。気管支鏡検査を術者として100例以上経験する。
呼吸器関連学会に毎年1回以上参加する。十分な指導のもと、呼吸器関連学会での演題発表を2回以上行い、論文1編を執筆する。
4年コースにおいては、内科系各科をローテート研修し、それらの科での指導を受ける。
評価
評価
指導医との面談による定期的な形成的評価を中心とする。北海道民医連呼吸器グループ会議や勤医協中央病院呼吸器グループ会議において、複数の指導医による評価を受ける。病棟診療に関わる多職種の参加による多面的評価も行う。
具体的なプログラムの内容
具体的なプログラムの内容
- 4年コース(卒後研修2年終了後の研修医を対象とする)
1年目:勤医協中央病院の内科系各科(総合診療部、呼吸器内科、循環器内科など)をローテートし、または北海道民医連の中規模病院で、一般内科研修を行う。日本内科学会認定内科医の取得に必要な症例を経験する。
2-3年目:勤医協中央病院呼吸器センターに所属し、呼吸器内科の専門診療を行う。内科一般外来や内科当直を行い、一般内科研修も平行して行う。呼吸器関連学会での演題発表を年1回以上行う。
4年目:診療については2-3年目と同様。論文を1編執筆する。 - 3年コース(日本内科学会認定内科医資格を取得している(見込みも含む)研修医を対象とする)
1-2年目:勤医協中央病院呼吸器センターに所属し、呼吸器内科の専門診療を行う。内科一般外来や内科当直を行い、一般内科研修も平行して行う。呼吸器関連学会での演題発表を年1回以上行う。
3年目:診療については1-2年目と同様。論文を1編執筆する。
- 一週間のスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
朝 | 回診 | 回診 | 回診 | 回診 | 回診 | 回診 |
午前 | 内科外科Cf 検査(X線透視) | 病棟/外来 | 病棟/外来 | 内科病棟Cf | 内科外科Cf 検査(X線透視) | 病棟/外来 |
午後 | 病棟 画像Cf | 病棟 病棟Cf | 病棟/外来 | 検査(気管支鏡) 検査(CT透視) | 病棟 RST会議 | |
夕 | 抄読会 | 呼吸器病理Cf | RST学習会 |
4年コースの2年目以降、3年コースで、内科一般外来と呼吸器外来を週1単位ずつ担当する。
- カンファレンスについて
- 回診
呼吸器センターの入院全症例について、前日の経過と当日の予定を各々プレゼンテーションする。その後呼吸器内科の患者を全員で回診する。 - 呼吸器内科カンファレンス
呼吸器内科の入院症例について、カンファレンスを行う。 - 呼吸器内科外科合同カンファレンス
両科で連携して診療を行っている症例(手術症例、気胸、膿胸など)について、カンファレンスを行う。 - 画像カンファレンス
教育的な症例や、診断、治療に困難を伴う症例について、カンファレンスを行う。前週に施行した気管支鏡症例についてもカンファレンスを行う。 - 呼吸器病理カンファレンス
呼吸器の生検や手術検体について、内科、外科、病理診断科による合同カンファレンスを行う。 - 呼吸ケアサポートチーム(Respiratory care support team; RST)会議
院内RSTの運営と中心スタッフの学習のための会議。 - RST学習会
院内RSTのスタッフによる、全病院職員対象の学習会。 - 抄読会
英語文献の抄読会。呼吸器内科医師および研修医が参加対象。
最終更新日:2021年12月