総合診療センター-ブログ-

TOPページ > 診療科・センター機能 > 総合診療センター > SEAカンファレンス(2017/7/21)

SEAカンファレンス(2017/7/21)2017-07-31

Facebook

今年度3回目のseaカンファレンスです。日々の診療でのモヤモヤをみんなで振り返って共有する会です。

 

今回は1年目研修医のM先生が症例を発表してくれました。1年目とは思えないかなりヘビーで複雑な症例でした。

 

【症例】

高度のるいそうを呈した高齢女性。栄養障害の改善と原因検索目的に入院となりました。

これまでの検査で癌の疑いがあり造影CTを撮像したところ、周囲の臓器にまで及ぶ末期の状況であることがわかりました。

しかもなんとその造影CTで造影剤によるアナフィラキシーショックを起こし、嘔吐し誤嚥性肺炎を発症。人工呼吸器管理を検討するほどの状況になってしまったのです。

すでに癌も末期であり挿管人工呼吸器管理は本人に苦痛を与えるだけだろう、当然挿管はしないだろうと医療者の意見は一致していましたが、ご家族の意見は「1日でも長く生きて欲しい。できる限りのことをして欲しい」というものでした。しかしご家族はお見舞いの回数も多くなく、熱心とは捉えにくい様子でした。

「1日でも長く生きて欲しいのであればもっと会いに来てくれればいいのに」と思う反面、ご家族の人間関係や金銭的な厳しさも理解され「患者さんのことを考える余裕がないのかな…」という思いも生まれました。

結局ご家族との話し合いで挿管をすることになりました。

その後「挿管をしても辛い時間を長引かせるだけ」との予想とは裏腹に、患者さんは苦痛の少ない穏やかな時間を過ごし、時には簡単な疎通が取れる状態にまで落ち着き、その後亡くなりました。

「当然挿管をしない方が患者さんのため」と思っていた状況から「これも患者さんにとっては幸せな状態だったかもしれない」と思いが揺れ、「何が患者さんのためなのか」「患者さんに関わる人たちの考え方の違い」などを考えさせられた症例でした。

 

その後のディスカッションでは間近でM先生の葛藤を見ていた同期研修医から当時の大変そうな様子や心を傾けていた様子などが聞かれました。また挿管をした時しなかった時に起こり得る経過や可能性なども経験や知識がないとうまく家族に方針を伝えられないことや、理解しにくい家族にどこまで寄り添えるかなどが話題になりました。

 

私からは佐藤伸彦先生の「ナラティブホームの物語」という本から、現状を受け入れることができない家族がいるのではなく、そういう家族を受け入れることができない医療スタッフがいるだけというという一節をご紹介させていただきました。

 

 

とっても考えさせられる症例でした。次回はどんな症例でしょうか、楽しみです。(seaファシリテーター後期研修医A)

関連記事

トラックバックURL

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

一覧に戻る