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質的研究:SCATのワークショップ終了しました。2011-11-02

北海道勤医協 総合診療・家庭医療・医学教育センター(GPMEC)の後期研修医、指導医の振り返り、勉強会の場である通称二木会が10月22日開催されました。

今回は名古屋大学大学院教育発達科学研究科 教授の大谷 尚先生をお招きして、質的研究の中で大谷先生が開発したSCAT(Steps for Coding and Theorization)という質的データの分析方法のワークショップでした。

SCATのページはこちら

SCAT 終了写真
そもそも質的研究とは何でしょうか?

医学の臨床研究でよく行われるのは、ある新薬を使ったときに効果があるのか?という疑問に対して、その薬を飲む人を1000人、薬の成分は入っていない偽薬を飲む人を1000人として効果があるか?というのを統計的処理を使って実証する研究が量的研究です。(偽薬でもある一定の効果があるんです・・・これをplacebo効果といいます)

これに対して質的研究とは一言で言うのは難しいのですがあえて言うと、「数値(量的)で表せない現象を、質そのもので解釈する試み」でしょうか?・・・これでなんだかわかりますか?

もっとわかりやすく大谷先生の講義から抜粋すると、「研究対象に対する非計量的データを採取し、それを科学的な手続きで分析して結論を得る経験科学的研究」となります。

ここでいう非計量的データとは、観察記録や面接記録などの「言語記録」や映像記録などを言い、これがまさしく質的データ(qualitative data)です。

 

例を出すと、救急外来に総合診療センター所属の医師が3ヶ月ローテで指導に入るとします。そのことによって研修医にどの様な変化が起こったか知りたいとします。これを量的に研究するのは出来ないこともないですが中々難しいです。

そのような時に、指導を受けた研修医を集めてインタビューします(フォーカスグループインタビュー)。そのインタビューで得られたデータ(質的データ)を分析します。それにより研修医にどのような変化が起こったのかを明らかにします。
ということでデータを集めたあとの「分析」がとても大事なのですが、その分析が一定の手続きに従っていないと科学的ではありません。

この分析手法の一つが、大谷先生の開発したSCATです。

質的研究では分析の際に得られたデータを丹念に読み込んでいくのですが、その中で繰り返し現れることばや重要と思われることばなどに名称をつけるのですが、これをコード化と呼びます。このコード化(コーディング)が慣れていないととても難しいのです。


このコード化を段階的に行い、理論化する方法がSCAT(Steps for Coding and Theorization)なのです。

SCATの説明・・・SCATのページより以下引用
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SCATはそのような分析の困難さという問題を克服するために開発された手法です.SCATは,マトリクスの中にセグメント化したデータを記述し,そのそれぞれに,

〈1〉データの中の着目すべき語句
〈2〉それを言いかえるためのデータ外の語句
〈3〉それを説明するための語句
〈4〉そこから浮き上がるテーマ・構成概念

の順にコードを考えて付していく4ステップのコーディングと,そのテーマ・構成概念を紡いでストーリー・ラインを記述し,そこから理論を記述する手続きとからなる分析手法です。この手法は,一つだけのケースのデータやアンケートの自由記述欄などの比較的小さな質的データの分析にも有効です.また,初学者が着手しやすい方法です.(この手法は,現在のところ,日本人の開発した唯一の完全にオリジナルな「テクスト形式の質的データ」の分析手法でもあります.)
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ふぅー、ここまで来るのに時間かかりましたね~。閑話休題ということでWS中の写真を載せます。

SCAT WS C班

 

今回のWSでは、質的研究、SCATについての講義を受けた後に数人のグループに分かれて、あるインタビューをSCATを使ってグループごとに実際に分析を試みました。

これがなかなか難しいけど面白いんです。詳しいSCATの方法は上記のホームページを参考にしていただきたいですが、コード化するときに日本語力がとても問われます。日本語力が足りないと概念化する時の語彙が乏しくて上手くいきません。

又、初学者がコード化するときには、複数で行い多様な観点から分析するのと、その分析が正しい手続きで行われているかをチェックするアドバイザーの存在が必須に感じました。


実際のWSは和気あいあいとした雰囲気で分析が進み、朝から始まったWSでしたが気付けば夕方5時を回っておりました。 最後に3グループからそれぞれ分析結果を発表してもらいましたが、微妙に目の付け所が違っていて理論記述に違いが出るのですね。これは興味深かったです。
すべて「相撲」に例えてコーディングしてストーリーラインを作ったグループもありましたww

同じインタビューを分析して、微妙に分析結果が違うのは科学的ではないのでは?一般化出来ないのか?
などと疑問に思うかもしれません。しかしそれが質的研究なのです。量的研究の一般化可能性は、手続きの正しさが担保します。つまり、サンプルサイズ、データ採取方法、実験手続き、統計的手法が適切でなければいけません。

これに対して、質的研究では論文の結果が一般化可能なのではなく、読者が論文を読み、自分のケースと比較しながら翻訳することで適用が可能となり実現される。
つまり質的研究の一般化可能性は、その「比較可能性」と「翻訳可能性」によって提供・担保されるのです。

わかりますか?

このように普段使っていない頭をフルに使い、終わったあとは脳が筋肉痛になったような感覚でした~。

これを生かして是非論文を書きたいと思いました~。まずは研修医向けのアンケートから分析していこうかなと思います。

(管理人:K)

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